n1 blog-3 「業務改善助成金(通常コース)」

◎ 賃上げと生産性向上の設備投資等を支援する助成金のご紹介

(注)本投稿後、本制度は令和4年度第二次補正予算により助成上限額等が拡充されています。12月5日の投稿をご参照ください。

 10月1日に地域別最低賃金が全国加重均で31円引き上げられました。原材料価格の高騰や新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営環境にある中小企業・小規模事業者にとってはさらなるコスト増加となりますが、こうした困難な状況にあっても賃上げにより社員の処遇改善を図り、コスト増加を生産性の向上などによって吸収しなければなりません。
 こうした賃上げと生産性向上の取組みを支援する助成金の一つが「業務改善助成金」です。
 今回は「業務改善助成金(通常コース)」について、制度の概要をご紹介します。

◇ 対象となる事業場
①中小企業事業者かつ労働者数100人以下であること
②事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること
 神奈川県の事業場の場合、最低賃金は令和4年10月1日現在、1,071円(時給)となりましたので、時給(換算額)が1,071円から1,101円の(交付申請書提出時点で雇入後3カ月を経過している)労働者が就労していることが必要です。

◇ 対象となる取組み
①賃金引上げ計画を策定すること
 雇入後3か月を経過した労働者のうち事業場内で最も低い時間当たりの賃金額(=「事業場内最低賃金」)を、下記の表のコース区分毎に定められた引上げ額以上に引き上げるとともに、就業規則等でその引上げ後の事業場内最低賃金額を事業場で使用する労働者の下限の賃金額とすることを定める必要があります。
②生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資等を(交付申請書提出後、労働局の承認が出てから)行い、その費用を支出すること
 生産性向上に資するコンサルティング導入、人材育成・教育訓練の費用も対象となります。対象となる機械装置等については、厚生労働省のHPに業種別の活用事例集が掲載されていますので参考にしてください。厚生労働省HP

◇ 助成金額、経費助成率
  次の表のとおり、引上げ額と引き上げる労働者数により助成上限額が、事業場内最低賃金により助成率が定まります。
  また、事業場内最低賃金が870円以上の事業者は生産性要件(※2)を満たすことにより、助成率が引き上げられます。
 (下記の表は厚生労働省HPより引用)

(※1)10 人以上の上限額区分は、以下の 1 、2または3の いずれかに該当する事業場が対象となります。
1.賃金要件:事業場内最低賃金920円未満の事業場
2.生産量要件:売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3ヶ月間の月平均値が前年、前々年又は3年前の同じ月に比べて、15%以上減少している事業者
3.物価高騰等要件:原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により 、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が前年同月に比べ3% ポイント以上低下している事業者
(※2)ここでいう「生産性」とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値を指します。助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合等に、加算して支給されます。

*引上げる労働者数は、上記の「対象となる事業場②」及び「対象となる取組み①」にもとづいてカウントされます。下記の事例をご参照ください。
(下記の図は、厚生労働省労働基準局賃金課「業務改善助成金 通常コース 申請マニュアル」5Pの図を加筆・編集)

◇ 令和4年9月の改正内容
 上記(※1)2.「生産量要件」もしくは3.「物価高騰等要件」に該当する場合に限り、改正前は助成対象とされなかった次の設備投資に係る費用が対象となりました。
・乗車定員7人以上又は車両本体価格200万円以下の自動車及び貨物自動車等
・パソコン、タブレット、スマートフォン等の端末及び周辺機器(新規購入に限る)

◇注意事項
・申請期限は、令和5年1月31日です。
・予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります。
・事業完了の期限は、令和5年3月31日です。
 以上が通常コースの概要です。
(参考文献)
・厚生労働省労働基準局賃金課「中小企業最低賃金引上げ支援対策補助金(業務改善助成金)通常コース 申請マニュアル」
・日本法令「ビジネスガイド」(12月号)「特集1 経営環境リスク対応 助成金&補助金」

 10月に事業場内最低賃金を引き上げたばかりの中小企業・小規模事業者が、さらに賃金を引き上げることは難しいかもしれません。ただし、この助成金は令和4年度第二次補正予算でも制度拡充が検討されており継続が見込まれます。
 賃上げは我が国の課題であり、最低賃金は来年も引き上げられるでしょう。中小企業・小規模事業者も、引き続き賃上げと生産性向上などに取組む必要があります。資金面に課題のある中小企業・小規模事業者にとって助成金を上手に活用できれば、生産性向上に必要な施策を計画し実行する助けとなります。そのためにも第一回のブログで触れた人事・労務管理の運用や書類の作成が適正になされているか点検し改善を図っておきましょう。
 次回のブログでは、「業務改善助成金(特例コース)」をご紹介します。

【画像は、静岡県藤枝市、令和元年10月の「藤枝大祭り」の風景です】