n1 blog-7 建設業許可の電子申請が開始(令和5年1月から)

◎進展する行政手続のデジタル化:建設業許可、経営事項審査の電子申請の運用開始

 各種行政手続において電子申請の運用が開始されていますが、建設業許可、経営事項審査(経営規模等評価)の申請も来年の1月から電子化されます。背景には我が国が推進する行政手続きコストの削減などに向けた取り組みがあり、①長時間労働などが課題とされている建設業の働き方改革推進の一環として、申請者・許可行政庁の事務負担を軽減し、生産性の向上を図ること ②新型コロナウイルス感染症の拡大等を踏まえ、非対面での申請手続きを行うことができる環境を整備することが電子申請導入の目的です。大臣許可は1月10日から、知事許可は東京、大阪、京都、兵庫、福岡の5都府県を除く42道県で1月から運用が開始されます。
 こうした動きを推進する「デジタル手続法」では、行政のあらゆるサービスを最初から最後までデジタルで完結させるために不可欠なデジタル3原則(①デジタルファースト:個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する、②ワンスオンリー:一度提出した情報は、二度提出することを不要とする及び③コネクテッド・ワンストップ:民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する)を基本原則として明確化するとともに、国の行政手続きのオンライン化実施を原則としました。そして同法には、行政機関間の情報連携等(バックヤード連携)による「添付書面等の省略」が条文に盛り込まれています。
 建設業許可・経営事項審査の電子申請でもこのバックヤード連携により、大臣許可申請では登記事項証明書や国税の納税証明書の添付が省略されます。そして、技術検定合格証明書や経営状況分析結果通知書、監理技術者資格者証・監理技術者講習修了証、建設業経理士登録証・建設業CPD講習修了証もバックヤード連携される予定です。申請時に証明書を取り寄せるコストや手間、技術者などの従業員から合格証明書などの写しをとり添付する手間を省くことができます。
 なお、電子申請には、建設業者自身が申請する場合はもちろん、申請を行政書士に委任する場合にも「g BizIDプライム」の認証を受けておく必要があります。認証には書類審査があって原則2週間以内の時間がかかりますので、前もって認証手続きを済ませておきましょう。
 建設業許可・経営事項審査の電子申請の概要は、こちらをご参照ください。

 令和7年(2025年)末までに97%超の行政手続をオンライ化する国の方針が示されています。建設業許可関連は、来年1月の電子申請開始時点ではすべての手続きが電子化される訳ではなく、知事許可におけるバックヤード連携などは調整中の課題とされています。また、電子申請開始当初はシステム上のトラブル発生や添付が必要な書類もあって、利便性や効率性などに疑問符がつくかもしれません。しかしながら、手続き等における国民の利便性向上や行政運営の簡素化・効率化を効果的に図ることができるデジタル社会実現のためには、現在はその実現のための過渡期であることを認識して、開始当初の面倒などは許容しつつ、システムの改善要望などを積極的に具申して、官民で理想の姿の実現を目指すことが大切であると考えています。
当事務所でも行政手続に留まらず、デジタルで実現できるビジネスの可能性を拡げるためにも、デジタルリテラシーを高めていきたいと思っています。

【画像は、高知県津野町の四国カルスト天狗高原です。】