令和6年度 地域別最低賃金額改定の目安の答申

 7月26日、第69回中央最低賃金審議会が開催され、令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会の報告(以下、「小委員会報告」という)を受け、答申が取りまとめられました。引上げ額の目安は、次の表に掲げる金額のとおりです。
ランク都道府県金額
A埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪50円
B北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、
三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡
50円
C青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄50円
 この目安は、①労働者の生計費について、消費者物価指数や食パンや鶏卵などの生活必需品を含む「頻繁に購入」する支出項目に係る消費者物価も高い水準であること ②賃金については、大企業を対象に含む春季賃上げ妥結状況と30人未満の小規模な企業のみを対象とする賃金改定状況調査結果を見ると、企業規模に関わらず昨年を上回る賃金引上げとなっていること ③通常の事業の賃金支払能力については、大企業と中小企業・小規模事業者では差が広がっているなどの二極化の傾向にあること などを「総合的に勘案し、特に今年度は、消費者物価の上昇が続いていることから労働者の生計費を重視した」結果とされています。

 仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は、1,054円となります。神奈川県については、1,162円となります。

 なお、「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解」では、「中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げできる環境整備の必要性については労使共通の認識」として、次の「政府に対する要望」を行なっています。

🟢助成金
・業務改善助成金:最低賃金引上げの影響を受ける中小企業・小規模事業者がしっかりと活用できるよう充実するとともに、具体的事例も活用した周知等の徹底を要望
・キャリアアップ助成金、働き方改革推進支援助成金、人材確保等支援助成金等:賃上げ加算等の充実を強く要望

🟢税制・補助金等
・設備投資の促進に資する税制や、省力化投資の補助金等による支援の強化を要望
・創業・事業承継やM &Aの環境整備の一層の強化に取り組むことが必要
・成長市場に進出しようとする者の事業再構築、新製品開発や新市場の開拓、イノベーション創出」、DX・GXの取組を促進することを要望
・中小企業・小規模事業者がこれらの施策を一層活用できるよう、周知等を徹底するとともに運用改善を要望する

🟢価格転嫁対策
・独占禁止法の執行強化、下請Gメン等を活用しつつ事業所管省庁と連携した下請法の執行強化、下請法改正の検討等を行うとともに、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の周知徹底を要望
・転嫁率が低い等の課題がある業界については、自主行動計画の策定や改定、改善策の検討を求める求めることを要望
・指針別添の交渉用フォーマットについては、業種の特性に応じた展開・活用を促すことを要望
・パートナーシップ構築宣言の更なる拡大と実効性向上に取り組むとともに、中小企業等協同組合法に基づく団体協約の更なる活用の推進に向け、活用実態の調査や組合への制度周知に取り組むことを要望
・BtoC事業では相対的に価格転嫁率が低いといった課題があるため、消費者に対して転嫁に理解を求めていくよう要望

🟢年収の壁
・「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用を促進するほか、被用者保険の適用拡大等の見直しに取り組むことを要望

 厚生労働省HP「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」は、こちらからご確認ください。

【画像は、東急シアターオーブの公演「天使にラブ・ソングを・・・(シアター・アクト)」のポスターです。】