【2026年10月適用】同一労働同一賃金ガイドラインの見直しを読み解く

 厚生労働省告示第203号(令和8年4月28日公布・令和8年10月1日適用)新旧対照表に基づく解説

 「ガイドラインが見直された」と聞くと身構えてしまいますが、今回の改正はルールがまるごと変わるわけではありません。これまで曖昧だった判断の線引きが、具体例つきで明文化された——そう捉えるのが一番しっくりきます。この記事では、改正の中身を賃金・賞与・退職金・手当・福利厚生のカテゴリーごとに整理し、適用日までに何をすればいいのかまでをまとめます。

1 まず押さえたい「改正の全体像」

今回の改正は厚生労働省告示第203号(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針の一部を改正する件)として確定し、令和8年4月28日に公布、令和8年10月1日から適用されます。ポイントは、法的枠組みそのものは変わらないということ。パートタイム・有期雇用労働法第8条(均衡待遇)・第9条(均等待遇)、労働者派遣法第30条の3・第30条の4という基本構造は維持したまま、ガイドライン(平成30年厚労省告示430号)の内容を「更なる明確化」するものです。

つまり実務上は、「新しい義務が増える」というより、これまで曖昧だった判断の線引きが具体例・留意事項つきで明文化されたと考えるのが正確。明確化された基準に、自社の待遇制度を当てはめて点検する作業が求められます。

そもそもの判断枠組み(第8条・第9条)

改正の中身に入る前に、待遇差を判断する「ものさし」を押さえておくと、以降の各項目がぐっと読みやすくなります。パート・有期法は2つの規定で待遇差を規律しています。

  • 均衡待遇(第8条):①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲、③その他の事情を考慮し、不合理な待遇差を設けてはならない(バランスを欠く差の禁止)。
  • 均等待遇(第9条):①職務の内容と②職務の内容・配置の変更の範囲が通常の労働者と同一なら、短時間・有期であることを理由とする差別的取扱いを禁止(同じ取扱いの義務)。

そして、判断要素の中身はそれぞれ次のとおりです。各待遇が不合理かどうかは、これらに照らして「具体的・客観的に」説明できるかで決まります。

  • 職務の内容 = 業務の内容(職種・担当する作業の種類)+ 責任の程度(与えられた権限の範囲、トラブル・緊急時対応、ノルマ・成果への責任、部下の有無など)。
  • 職務の内容・配置の変更の範囲 = 転勤・人事異動・昇進・職務変更の有無やその範囲(いわゆる「人材活用の仕組み」)。将来の配置転換の見込みも含めて実態で判断します。
  • その他の事情 = 成果・能力・経験、労使慣行、労使交渉の経緯、定年後の継続雇用であることなど。第2章で触れるとおり、説明義務を尽くしたかも含まれうる要素です。

もう一つの軸 ― 待遇ごとに「性質・目的」へ立ち返る

 3要素と並んで、今回の改正に通底するキーワードが「当該待遇の性質・目的に照らして」判断するという考え方です。賃金や手当を一括りにするのではなく、基本給・賞与・退職手当・各手当・福利厚生・休暇のそれぞれについて「何のための待遇か」を特定し、その趣旨に照らして差が説明できるかを問います。賞与や退職手当の注、各手当の具体例、定年後再雇用の取扱いまで、改正の各論はすべてこの一点に帰着します。

同じ「手当」でも趣旨が違えば結論は変わります。代表例を挙げると次のとおりです。

  • 賞与 = 会社業績への貢献の対価(後払い・功労報償・生活費補助・労働意欲の向上などが複合的に含まれうる)。
  • 退職手当 = 賃金の後払い・功労報償など。
  • 無事故手当 = 安全な業務遂行の確保/通勤手当 = 通勤費の補填/家族手当 = 生活費の補助/住宅手当 = 住居費の補助(転居を伴う配置変更への対応)。
  • 福利厚生施設・休暇 = 福利の保障や心身の回復など、その施設・休暇ごとの目的。

 だからこそ実務の出発点は、自社の各待遇について「支給の趣旨・目的」を1行で言語化することです(第10章のSTEP1に対応)。趣旨が明確になって初めて、3要素に照らした差の説明が客観的・具体的にできるようになります。

定年後に有期契約で継続雇用している嘱託・再雇用者についても、パート・有期法は当然に適用されます。「定年後だから」という一点だけで待遇差が許されるわけではありません。

もっとも、定年に達した後に継続雇用された者であること自体は「その他の事情」として考慮されうるとされています。ここで注意したいのが、改正での文言の拡充です。従来は「定年後継続雇用であること」を漠然と考慮要素とする書きぶりでしたが、改正後は「それぞれの待遇の性質・目的に照らして」、職務の内容・変更範囲・その他の事情を総合考慮して不合理性を判断する、という枠組みがより明確になりました。

つまり、定年後再雇用であることは待遇ごとに重みが違いうるのであって、すべての待遇差を一律に正当化する万能の理由にはなりません。基本給・賞与・各手当・退職手当のそれぞれについて、性質・目的に照らして差の説明ができるかを個別に点検しておく必要があります。

章立て(構成)はここが変わった

  • 第3(短時間・有期雇用労働者)に「3 退職手当」が独立した項目として新設され、従来の「手当」は「4 各種手当(退職手当を除く。)」へ。派遣(第4)も同様です。
  • 第2「基本的な考え方」に、留意事項として(1)〜(4)が新設
  • 第6「所定労働時間が通常の労働者と同一で、かつ無期労働契約の労働者等」が新設(=無期フルタイム労働者。詳しくは6章で)。

背景にある考え方

この明確化は、近年の最高裁判例(ハマキョウレックス、長澤運輸、メトロコマース、日本郵便の各事件等)と施行通達の考え方を踏まえたものと説明されています。ただし告示本文に個別の判例名は書かれておらず、各待遇の「性質・目的」に照らして客観的・具体的な実態で判断する、という共通の枠組みとして整理されています。

全体に通底する留意事項(第2の新設分)

  • (1) 雇用管理区分が複数あっても、比較対象は全ての通常の労働者(正社員)との均衡で判断。区分を新設して水準を下げても、職務を分離しても、不合理な差は解消が必要です。
  • (2) 決定基準・ルールの相違があっても、「将来の役割期待が異なる」等の主観的・抽象的な説明では足りず、客観的・具体的な実態に照らして不合理であってはなりません(賃金に限らず待遇全般)。
  • (3) 就業規則変更で対応する場合、正社員の待遇引下げによる是正は望ましくありません(労契法第9条・第10条)。
  • (4) そもそも客観的にみて待遇差が存在しない場合は、本指針の対象外です。

 あわせて、退職手当・住宅手当・家族手当など、原則となる考え方が示されていない待遇や具体例に該当しない場合についても、不合理な相違の解消等が求められる旨が第2に明記されました。

2 賃金(基本給)

基本給の原則(職業経験・能力/業績・成果/勤続年数等の趣旨に応じて支給する)に関する本体の記述((1)〜(4))は、実質的な変更はありません。今回の中心は、基本給に付いていた注を整理し、より上位(第3の注・第2の留意事項)へ格上げ・拡充した点にあります。

改正のポイント

  • 「将来の役割期待が異なるため決定基準・ルールが異なる」といった主観的・抽象的な説明では足りないことが、第2(2)・第3の注として明確化(賃金に限らず待遇全般に及ぶ)。
  • 「通常の労働者としての人材の確保・定着のため」という目的があっても、それだけでは差は当然には正当化されないことが第3の注として明記。
  • その他の事情には職務の成果・能力・経験・労使慣行・労使交渉の経緯等が含まれること、加えて説明義務(法第14条第2項)を十分果たさなかった場合や一方的に待遇を決定した場合は、不合理性を基礎付ける事情になりうることが明確化。

 正社員にだけ手厚い待遇を設けている会社で、その理由としてよく語られるのが「優秀な人材を確保・定着させるため」という説明です。今回の改正では、この点について第3の注で明確な線引きが示されました。

 結論から言うと、「通常の労働者としての人材の確保・定着を図るため」という目的があること自体は、それだけでは待遇差を当然に正当化しないとされています。人材確保という目的は「その他の事情」のひとつとして考慮されうるものの、その一事をもって差を説明し切れるわけではない——つまり、過大にも過小にも評価しない、というのが告示の立場です。

 実務へのインパクトは小さくありません。「正社員は将来の幹部候補だから」「長く働いてもらうために厚遇している」といった抽象的・主観的な理由づけは、それ単独では説明として通りにくくなります。求められるのは、職務の内容・配置の変更範囲・その他の事情に照らした客観的で具体的な説明。人材確保論に頼っている待遇項目があれば、適用日(令和8年10月1日)までに根拠を見直しておく必要があります。

3 賞与

賞与は、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについて、同一の貢献には同一の、違いには違いに応じた支給を行うのが原則です(本体の記述に変更なし)。今回、(注)が新設されました。

改正のポイント(注の新設)

  • 賞与には後払い・功労報償・生活費補助・労働意欲の向上など様々な性質・目的が含まれうる。
  • 非正規にもその性質・目的が妥当するのに、均衡のとれた賞与を支給せず、かつ、その見合いとして基本給を高く支給している等の事情もない場合には、当該賞与の相違は不合理に当たりうる。一律不支給も、この観点から判断されます。

4 退職金(退職手当)

今回、退職手当が独立した項目(第3の3)として新設されました。賞与の注と同じ構造で考え方が示されています。

改正のポイント(新設)

  • 退職手当にも後払い・功労報償等の様々な性質・目的が含まれうる。
  • 非正規にもその性質・目的が妥当するのに、均衡のとれた退職手当を支給せず、かつ、その見合いとして基本給を高く支給している等の事情もない場合には、当該退職手当の相違は不合理に当たりうる
  • 「退職手当だから一律に対象外」とはなりません。正社員のみに支給している場合は、職務内容・変更範囲・その他の事情を客観的・具体的に説明できるか点検が必要です。

5 各種手当(退職手当を除く。)

今回新たに具体例が追加されたのは、次の3つの手当です(その他の手当は既存項目で、今回の改正対象ではありません)。趣旨が同じなら原則として同一の支給が必要です。

手当新設された考え方
無事故手当通常の労働者と業務の内容が同一の非正規には、同一の無事故手当を支給しなければならない。
家族手当労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規には、同一の家族手当を支給しなければならない(継続勤務が見込まれない場合は不支給も可)。
住宅手当(転居を伴う配置変更に応じて支給するもの)通常の労働者と同一の転居を伴う配置変更がある非正規には、同一の住宅手当を支給しなければならない。なお、転居の有無にかかわらず支給する住宅手当も、性質・目的に照らした均衡が必要(注)。

※ 配偶者の収入要件がある「配偶者手当」は、短時間労働者の就業調整の要因と指摘されており、労使の話合いで働き方に中立的な制度へ見直すことが望まれる旨の注も新設されました。

既存の手当(参考・今回は改正なし)

 役職手当、特殊作業・特殊勤務手当、精皆勤手当、時間外・深夜・休日割増、通勤手当・出張旅費、地域手当などは従来どおりで、いずれも趣旨が同一なら同一支給という原則が引き続き適用されます。

6 福利厚生・教育訓練

改正のポイント

  • 福利厚生施設(給食施設・休憩室・更衣室):利用を認めるのが原則であることに加え、利用料金・割引率等の利用条件についても法第8条の適用を受けることが明記されました(不合理な相違を設けてはならない)。
  • 病気休職:通常の労働者に病気休職期間の給与保障を行う場合、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規にも同一の給与保障を行わなければならない旨が追記。
  • 夏季・冬季休暇(新設):非正規にも通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない。
  • 褒賞(新設):一定期間勤続した労働者に付与する褒賞は、同一の勤続期間の非正規にも同一に付与しなければならない。
  • 法定外の休暇(勤続期間に応じるもの):慶弔休暇・病気休暇・夏季冬季休暇を除いた休暇について、同一勤続なら同一付与。更新時は当初契約開始時から通算して勤続期間を評価。
  • 教育訓練:現在の職務に必要な訓練は、雇用形態にかかわらず同一に実施するのが原則。

7 無期フルタイム労働者等(第6・新設)

 所定労働時間が通常の労働者と同一で、かつ期間の定めのない労働契約を締結している労働者は、短時間・有期雇用労働者には該当しません。これらの者について第6が新設され、次の留意点が示されました。

  • 労契法第3条第2項により、労働契約は就業の実態に応じ均衡を考慮して締結・変更すべきこと。その均衡考慮にあたっては本指針の趣旨が考慮されるべきこと。
  • 無期転換後の労働条件の決定に当たっては、転換に係る有期雇用労働者と通常の労働者との間の不合理な待遇差をあらかじめ点検し、ある場合は確実に解消することが求められること。
  • 勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員(いわゆる多様な正社員)についても同様であること。

8 派遣労働者の待遇決定 ― 2つの方式

 ここまでは主に短時間・有期雇用労働者(第3)を中心に見てきましたが、派遣労働者も同一労働同一賃金の対象です。指針の第4・第5が派遣労働者に関する原則を定めており、賞与・退職手当・各種手当・福利厚生・教育訓練について、第3とほぼ同じ考え方が当てはまります。今回新設・追記された退職手当、無事故手当・家族手当・住宅手当、福利厚生施設の利用条件、病気休職、夏季冬季休暇、褒賞などの論点は、派遣労働者についても同様に検討が必要です。

 派遣の特徴は、待遇を決める「ものさし」が2方式から選べる点にあります(労働者派遣法第30条の3・第30条の4)。どちらを採用しているかで、点検の着眼点が変わります。

方式内容・実務上の着眼点
派遣先均等・均衡方式
(第30条の3)
派遣先の通常の労働者との間で、均等・均衡待遇を確保する方式。派遣先から提供される比較対象労働者の待遇情報に基づき、職務の内容・変更範囲・その他の事情に照らして待遇を決定する。新設・追記された各論点も派遣先労働者との比較で点検する。
労使協定方式
(第30条の4)
過半数労働組合等との労使協定で、同種業務の一般労働者の賃金水準(局長通知)以上となるよう待遇を定める方式。協定対象の待遇(賃金等)は協定で、協定対象外の待遇(教育訓練・福利厚生施設等)は派遣先均衡で確保する。協定の記載事項・周知(第30条の4、第31条の2第4項等)も改正の趣旨に沿って点検する。

※ いずれの方式でも、新設された退職手当・各手当・福利厚生等の考え方は派遣労働者にも及びます。労使協定方式を採る場合でも、協定対象外の待遇については派遣先との均衡確保が必要な点に注意してください。

9 労働条件の明示と説明義務 ― 対になる手続ルールも強化

 ここまではガイドライン(=待遇の中身を判断する基準)の話でしたが、令和8年10月1日からは、それと対になる手続面のルールも強化されます。関連する改正省令により、明示・説明の取扱いが具体化された点です。

新設:労働条件としての「説明を求められる旨」の明示義務

 令和8年10月1日以降に雇い入れる短時間・有期雇用労働者については、事業主が明示すべき労働条件に、「通常の労働者との待遇の相違の内容・理由について、事業主に説明を求めることができる旨」が新たに加わります。あわせてガイドラインにも、雇い入れ時にこの説明を求めることができることが明記されました。実務上は労働条件通知書の様式見直しが必須になります。

既存の説明義務(法第14条)も再確認

  • 雇入れ時(第1項):実施する雇用管理上の措置の内容を説明する。
  • 求めがあったとき(第2項):通常の労働者との待遇の相違の内容・理由、待遇決定に当たって考慮した事項を説明する。
  • 不利益取扱いの禁止(第3項):説明を求めたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。

そして第2章で触れたとおり、改正ガイドラインでは「説明義務を十分に果たさなかった場合は、不合理性を基礎付ける『その他の事情』になりうる」と明確化されています。つまり明示・説明はもはや形式ではなく、待遇差そのものの合理性評価に直結する手続になったと捉えるべきです。実務では、①労働条件通知書への新項目の追加、②説明を求められた際の回答フロー・記録様式の整備、が適用日までの宿題になります。

 同一労働同一賃金は、条文や告示だけで完結するものではありません。ガイドラインの基本的な考え方は、各社が労使の話し合いを通じて待遇差の点検・是正を進めることを前提に組み立てられています。法第14条の説明義務が「個別(労働者ひとりひとり)」の納得を支える仕組みだとすれば、労使コミュニケーションは「集団」でルールそのものの納得感をつくる仕組みであり、両輪の関係にあります。

 とりわけ次の場面では、労使の話し合いが実務上の鍵になります。

  • 是正の進め方:不合理な差の是正は、正社員の待遇引下げで帳尻を合わせるのではなく、労使で合意しながら進めることが望まれます(就業規則の不利益変更にあたる場合は労契法第9条・第10条の観点からも合理性・手続が問われます)。
  • 制度の見直し:配偶者手当の見直しのように、労使の話合いで働き方に中立的な制度へと転換すべきことが告示の注でも示されています。
  • 派遣の労使協定方式:過半数労働組合等との労使協定の締結・周知そのものが、制度化された労使コミュニケーションの仕組みです(第8章参照)。

制度を「決めて終わり」にせず、趣旨・目的を労使で共有し、説明と対話を重ねること——それが、明確化された基準の下で「納得感のある待遇」を実現する近道になります。

10 適用(令和8年10月1日)に向けて必要な準備

本告示は令和8年10月1日から適用されます。法的枠組みは変わらないものの、明確化された基準に照らすと、これまで「説明できていたつもり」の待遇差が説明不足と評価されるリスクがあります。適用日までに、次のステップで点検・是正を進めるのがおすすめです。

待遇の棚卸し

  • 正社員・有期・パート・派遣ごとに、基本給/賞与/退職手当/各手当/福利厚生を一覧化する。
  • 各待遇について「支給の趣旨・目的」を1行で言語化する(説明責任の土台になる)。

待遇差の根拠点検

  • 待遇差がある項目について、職務内容・変更範囲・その他の事情のどれで説明するかを整理。
  • 主観的・抽象的な理由(「役割期待が違う」「人材確保のため」)に頼っていないかを重点チェック。
  • 特に退職手当・賞与・家族手当・夏季冬季休暇・褒賞・福利厚生施設の利用条件は新設・追記項目であり、優先的に検証。

制度の見直し・是正

  • 不合理と評価されうる差は、趣旨に沿った支給・付与へ是正する。
  • 是正にあたり正社員の待遇引下げで帳尻を合わせない(労契法上の不利益変更リスク)。
  • 就業規則・賃金規程・労使協定(派遣の協定対象分を含む)を改定・周知する。

説明義務への備え

  • 法第14条第2項に基づく待遇差の内容・理由の説明に、客観的・具体的に答えられる説明文書を整備(不十分な説明はそれ自体「その他の事情」として不利に働きうる)。

無期転換・多様な正社員・派遣への対応

  • 無期転換後の待遇を事前点検し、不合理な差があれば解消(第6)。勤務地限定・職務限定・短時間正社員も同様。
  • 派遣を利用している場合は、派遣先均等・均衡方式/労使協定方式の別を確認し、退職手当・各手当・福利厚生の新設項目への整合、労使協定の周知等を点検。

実務上の優先順位

 リスクと着手しやすさから、①待遇の棚卸し → ②退職手当・賞与・家族手当・特別休暇等の新設項目の根拠点検 → ③説明文書の整備の順が効率的です。明確化の趣旨は「具体的・客観的に説明できる状態をつくること」に尽きます。

 本記事は厚生労働省告示第203号(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針の一部を改正する件。令和8年4月28日公布、令和8年10月1日適用)の新旧対照表、及び関連する改正省令(労働条件の明示に関する事項)に基づく解説です。実際の適用に当たっては、告示・省令本文及び施行通達を必ずご確認ください。