「求人を出しても人が来ない」──厚労省の新ポータル「みんなの労働ナビ」が、実は経営の武器になる
「募集をかけても応募がない」 「採用しても、すぐ辞めてしまう」 「使える助成金があるらしいが、調べる時間がない」
——人手不足が当たり前になったいま、中小企業の経営者なら、一度はこうした悩みにぶつかっているのではないでしょうか。
求人、労働法、助成金、人材育成。どれも経営に直結するのに、情報はあちこちのサイトに散らばっていて、調べるだけでひと苦労。「結局どこを見ればいいんだ」と、そっとブラウザを閉じた経験がある方も多いはずです。
そんな経営者にこそ知っておいてほしいのが、2026年3月13日に厚生労働省が公開したポータルサイト 「みんなの労働ナビ」 です。
一見すると求職者向けのサイトに見えますが、実は中身は経営者にとっての"使える情報"の宝庫。今回は、社長・人事担当の視点に絞って、その活用どころを整理します。
👉 https://www.mhlw.go.jp/roudou-navi/
なぜ今、国はこのサイトを作ったのか
背景を知っておくと、このサイトの“狙い”が見えてきます。
国が前提に置いているのは、「人材を確保できる企業」と「できない企業」の差がこれから一気に広がるという現実です。転職の増加、リスキリング需要の拡大、そして深刻な人手不足。企業の労働力確保は、もはや一部の大企業だけの課題ではありません。
そこで厚労省は、これまで省内のさまざまなサイトに分散していた「はたらく」情報を一か所に集約し、目的に応じてすぐ探せるよう案内するポータルを立ち上げました。政府の経済財政方針や「新しい資本主義」の実行計画を受けた取り組みでもあり、国としても人材戦略を本気で後押ししている、というメッセージでもあります。
裏を返せば——この情報をうまく使える経営者と、使わない経営者の差が、採用力や定着率にそのまま表れてくる、ということです。
経営者がまず開くべきは「企業・事業主の皆様」メニュー
サイトは利用者の立場別に入口が分かれていますが、経営者が真っ先に見るべきは 「企業・事業主の皆様」 メニュー。ここだけでも、次のような情報がワンストップでそろいます。
- 雇用についての基礎知識 — 人を雇うときのルールと支援策の全体像
- 雇用したい・募集したい — ハローワークへの求人申込みや採用の進め方
- 自社をPRしたい — 求職者に「選ばれる会社」になるための情報発信のポイント
- 利用できる支援策(助成金・セミナー等) — 雇用維持・人材育成・設備投資などに使える公的支援
- 自社の制度や働き方を見直したい — 就業規則の整備、同一労働同一賃金への対応、労務管理
- 従業員のスキルアップ・リスキリング — 社内の人材育成を後押しする支援制度
採用の入口から、助成金、労務管理、人材育成まで。「採用に強い会社づくり」に必要なテーマがひと通り並んでいるのがわかります。
経営に効く、3つの使いどころ
立場別メニューに加えて、テーマから横断的に探せる「分野別で探す」(7分野:就職・雇用/人材開発/労働基準/雇用環境・均等/社会保険/統計・労働市場分析等/その他)も用意されています。これらを踏まえて、経営者にとっての"使いどころ"を3つに絞ると——
① 採用と人材確保の「公式マニュアル」として
採用の基本的な進め方から、使える助成金・支援制度まで、信頼できる一次情報をまとめて確認できます。「求人の見せ方」「労働条件の伝え方」「職場の魅力の打ち出し方」を見直すだけでも、応募の集まり方は変わってきます。
② 法令・ルールの確認と、労務リスクの予防に
労働基準法をはじめとする労働関係法令の最新情報をチェックできます。法改正への対応や、就業規則・社内規程の見直しのタイミングで使えば、「知らなかった」では済まされない労務トラブルを未然に防ぐ助けになります。
③ 賃金設定の"根拠"づくりに
個人的に経営者へ一番おすすめしたいのが、ハローワークの求人・賃金データを「見える化」した特設ページです。
- 想定している職種・地域の平均賃金や求人数を確認できる
- 近隣の都道府県や別の職種のデータと、画面上で直接比較できる
「この職種、うちの提示額で本当に採れるのか?」「近隣の相場はどのくらいか?」——こうした問いに、感覚ではなくデータで答えられるようになります。採用時の給与設定や、既存社員の処遇を見直す際の客観的なものさしとして、これは強力です。
まとめ──「ナビ」を制する社長が、採用を制する
「みんなの労働ナビ」は、一言でいえば、バラバラだった"はたらく"情報の交通整理をしてくれるナビです。たどり着く先は従来からあるページだったりもしますが、入口のハードルがぐっと下がった意味は小さくありません。
人手不足がこれだけ深刻になると、採用・助成金・労務・人材育成といった“守りと攻め”の情報を、いかに効率よく押さえられるかが経営を左右します。
- 採用や人材確保の進め方を、公式情報で確認できる
- 助成金や支援策を、取りこぼさずキャッチできる
- 賃金や労働条件を、データを根拠に設計できる
- 法令対応で、労務リスクを未然に防げる
「求人を出しても人が来ない」とお悩みなら、まずはこのサイトの「企業・事業主の皆様」メニューと、賃金データの特設ページを開いてみてください。情報を味方につけることが、いちばんコストのかからない採用対策かもしれません。
👉 みんなの労働ナビ:https://www.mhlw.go.jp/roudou-navi/
※ 掲載内容は予告なく変更される場合があります。最新の構成・名称は公式サイトでご確認ください。(出典:厚生労働省「みんなの労働ナビ」公式サイト/報道発表資料)
