技能実習制度および特定技能制度の見直しに関する最終報告書のたたき台の追加・修正案が示されました

 10月27日、第13回技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が開催され、18日の最終報告書のたたき台に追加・修正を加えた案が示されました。
最終報告書たたき台(概要)は、次の通りです。

1 新制度及び特定技能制度の位置付けと関係性等

・現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設
・基本的に3年の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成
・特定技能制度は、適正化を図った上で現行制度を存続。
*現行の企業単独型技能実習のうち、新制度の趣旨・目的に沿うものは適正化を図った上で引き続き実施し、沿わないものは、新制度とは別の枠組みでの受入れを検討。

2 新制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方

・受入れ対象分野は、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定。*国内における就労を通じた人材育成になじまない分野は対象外。
・従事できる業務の範囲は、特定技能の業務区分と同一とし、「主たる技能」を定めて育成・評価(1年経過・育成終了時までに試験を義務付け)
・季節性のある分野等で、業務の実情に応じた受入・勤務形態を認める。【P】

3 受入れ見込数の設定等の在り方

・特定技能制度の考え方と同様、新制度でも受入れ分野ごとに受入れ見込数を設定(受入れの上限数として運用)。
・受入れ見込数や対象分野は経済情勢等の変化に応じて適時・適切に変更。試験レベルの評価等と合わせ、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断。

4 新制度での転籍の在り方

・「やむを得ない場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化。
・これに加え、以下を条件に本人の意向による転籍も認める。
 ≫ 人材育成等の観点から、一定要件(同一期間での就労が1年超/技能検定基礎合格・日本語能力A1相当以上(日本語能力試験N5合格等)/転籍先機関の転籍者数等)【P】を設け、同一業務区分内に限る。
 ≫ 転籍前機関の初期費用負担につき、不平等が生じないための措置を講じる。
・監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援を実施。
・育成終了前に帰国した者につき、それまでの新制度による滞在が2年以下の場合、前回育成時と異なる分野・業務区分での再入国を認める。
・試験合格率等を受入れ機関・監理団体の許可・優良認定の指標に。

5 監理・支援・保護の在り方

・技能実習機構の監督指導・支援保護機能や労働基準監督署・出入国在留監理庁との連携等を強化し、特定技能外国人への相談援助業務を追加。
・監理団体の許可要件厳格化。
 ≫ 監理団体と受入れ機関を兼職する役職員の関与の制限/外部監視の強化/職員の配置、財政基盤、相談対応体制等の厳格化。
*優良監理団体については、手続簡素化といった優遇措置。
・受入れ企業につき、支援体制、分野別協議会への加入等、要件を適正化。

6 特定技能制度の適正化方策

・新制度から特定技能1号への移行は、以下を条件。
 ①技能検定3級等又は特定技能1号評価試験合格。
 ②日本語能力A2相当以上(日本語能力試験N4合格等)
 *当分の間は相当講習受講も可
・試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認める。
・支援業務の委託先を登録支援機関に限定し、人員配置等の登録要件を厳格化/キャリア形成も支援。
・育成途中の特定技能1号への移行は本人意向の転籍要件と併せて検討。【P】

7 国・自治体の役割 

・入管、機構、労基署等が連携し、不適正な受入れ・雇用を排除。
・送出国と連携し、不適正な送出機関を排除。
・業所管省庁と業界団体が連携、受入れガイドライン・プログラム策定等。
・日本語教育機関を適正化し、日本語学習の質を向上。
・自治体において、相談窓口の整備、生活環境整備の取組を推進。

8 送出機関及び送出しの在り方

・二国間取決め(MOC)により送出機関の取締りを強化。
・送出機関・受入れ機関の情報の透明性を高め、送出国間の競争を促進。
・支払手数料を抑え、外国人と受入れ機関が適切に分担する仕組みを導入。

9 日本語能力の向上方策

・継続的な学習による段階的な日本語能力向上。
 *就労開始前にA1相当以上(日本語能力試験N5合格等)又は相当講習受講
  特定技能1号移行時にA2相当以上(日本語能力試験N4合格等)*当分の間は相当講習受講も可
  特定技能2号移行時にB1相当以上(日本語能力試験N3合格等)
・日本語支援に取り組んでいることを優良受入れ機関の認定要件に。
・日本語教育機関認定法の仕組みを活用し、教育の質の向上を図る。

第13回技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書たたき台(提言部分等)はこちらからご確認ください。

【画像は、新国立劇場で上演中のシェイクスピア「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」のエントランスのディスプレイです】