n1 blog-5  働き方改革を支援する「社労士診断認証制度」

◎「働き方改革」に着手していない事業者の皆様へ

今回は、全国社会保険労務士会連合会が2020年4月から開始した「社労士診断認証制度」の活用についてお話しします。
 この制度が創設された背景は、国が提唱する『「一億総活躍社会」実現に向けた「働き方改革」』などです。周知のとおり、我が国は少子高齢化の進展により労働力人口の大幅な減少が避けられず、日本経済の活力が損なわれる懸念があります。
この構造的な課題を解決するために『働き方改革』では、
・社会問題化していた長時間労働を解消し、短時間で成果を上げる生産性の向上を図ること
・働き手を増やすため、女性や高齢者、外国人材が働きやすい環境をつくること 
・非正規社員と正社員の格差是正を図り、処遇の改善を図ること
・子供を産み育てやすい環境を作り出生率の改善を図ること、介護離職を防止すること などを掲げ、これまで法改正や支援策を講じてきました。
 「社労士診断認証制度」は、こうした『働き方改革』や労務コンプライアンスの整備に取り組む企業を支援するため、取組み企業に対して社会保険労務士(以下、社労士)が診断し、認証マークを発行するものです。労働社会保険諸法令の遵守や職場環境の改善に積極的に取り組み、企業経営の健全化を進める企業を社労士が診断・認証する事業です。
 2019年4月に働き方改革関連法案の一部が施行されて以降、働き方改革に着手する企業・事業者の割合は増えているものの、事業規模が小さくなるほどその割合は低下する傾向にあります。
 新型コロナウイルス感染症の流行は、感染防止のために「テレワークなどの柔軟な働き方」を浸透させましたが、優先すべきは事業継続への対応であり、法改正に対処しつつも真の『働き方改革』まで手が回らない、或いは手付かずになっている事業者の方も少なくないと思います。
 こうした事業者の皆様には、国が推進する働き方改革を踏まえつつも、自らの経営ビジョンを実現するために必要な経営計画や経営戦略のなかで、人事・労務管理計画・戦略を位置付けることが大切であると考えています。そして、経営者自らが「経営ビジョンを実現するために、どのような組織・職場にしていきたいか、そのために社員(従業員)にはどのような行動を期待するか、会社はどのような働き方や教育の機会を提供するか、賃金と人事評価の運用をどうするか」などを発信することが大切です。こうした経営者の方の発信が、社員や管理職の「自社の働き方改革」への理解を高め、全社的な取組みとなるのではないでしょうか。自社の経営ビジョンとその実現に向けた課題に応じた「働き方改革」を進めることが必要だと考えます。(経営計画や経営戦略を策定していない経営者の方もビジョンとともに「自社の働き方改革」を語ることが必要だと思います。)
 しかしながら経営者の方の中には、まだ、自社の人事・労務管理の現状分析と課題の整理、社員・管理職との課題の共有がお済みでない方もいらっしゃると思います。このような場合に、「社労士診断認証制度」を活用されることをお勧めします。 
 「社労士診断認証制度」では、第一ステップとして、職場環境の改善に取組む企業(事業者)が申請して宣言することで「職場環境改善宣言企業」の認証マークが得られます。第二ステップは、社労士が、企業の労働・社会保険諸法令の遵守状況を診断し、課題を整理して助言を行います。この診断・助言を受けられると「経営労務診断実施企業」の認証マークが得られます。第三ステップは、企業の取組みの結果、診断した調査項目全てが「適正」となった場合は、「経営労務診断適合企業」の認証マークが得られます。②の診断を年一回実施する企業の健康診断です。
 これらの認証マークは、企業が自社サイトや全国社会保険労務士会連合会のサイト、社員の名刺や各種印刷物に掲載することができますので、職場環境改善への取組み姿勢を広く社内外へ発信することができます。社員の意識や取引先などの信頼性を高める効果が期待できます。また、全国社会保険労務士会連合会のサイトには、「就活生、転職者の方」がアクセスして「社労士診断認証制度」の認証を受けている企業・事業者を検索できるコーナーを設けており、採用活動でのアピールにもなります。
 サイト掲載や認証の付与には費用がかかりません(社労士への報酬はかかります)。「自社の働き方改革」について、現状分析が十分でない、何から手をつければ良いか迷っている、社員(従業員)・管理職の意識を高めたいなど、進め方に悩んでいる経営者の方は、是非、この制度の活用をご検討ください。
 特に、プレイヤーの役割も担っている経営者の方にとっては、「働き方改革」に取組むことは容易ではないと思います。しかしながら「働き方改革」は、事業の成長・発展のために取組まなければいけない課題です。思考停止に陥り立ち止まることなく、社労士の助けも借りて、この課題に取組んでいただきたいと考えております。

 「社労士診断認証制度」の詳しい内容については、次のサイトをご参照ください。企業の取組事例も紹介されています。
  社労士診断認証制度 経営労務診断のひろば

【画像は、北海道釧路市、釧路川を渡る「SL冬の湿原号」です。】